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「宇宙育種」の現場を訪ねて 「神舟13号」搭載の種子が畑で栽培

夏の果物・野菜が旬の季節になると、北京市通州区に位置する宇宙育種中核モデル拠点を訪れる人が大幅に増加する。各地の大手農家や種子取扱業者は科学研究者から説明を受けながら畑の中を行き来し、お気に入りの果物・野菜品種を選ぶようになっている。

面積13.3アールのトマトハウスの中では、170余りの宇宙新品種が栽培されている。果実の形、食感と風味から作物の生産量と耐性まで異なり、各地域の栽培環境に適応し、人々の味の好みを満たせる。

皮をむいて食べられるキウイトマト (撮影・侯宇)

これらの品種が多様で、各自の特色を持つ果物・野菜はいずれも、「宇宙種子」を栽培したものだ。宇宙育種産業イノベーション連盟の趙輝事務局長は取材に対し、「宇宙の特殊環境の作用を受け、種子の変異期間が短縮され、突然変異の頻度が上がる。地上よりも豊富な遺伝子変異が発生でき、育種家により多くの有益な変異材料を提供し、新品種の栽培に役立つ」と述べた。

中国宇宙ステーション任務が展開されてから、有人宇宙船「神舟12号」と「神舟13号」が宇宙から千点を超える作物の種子や微生物・菌などの宇宙育種材料を持ち帰った。中には、小麦、コーリャン、キュウリ、トマトなどが含まれる。うち神舟13号が持ち帰った一部の種子は、宇宙貨物船「天舟2号」と「天舟3号」が宇宙に送り込んだものであり、軌道飛行期間は最大11ヶ月にのぼる。

趙氏は、「これは初めて取得した長期軌道滞在実験材料だ。一部の種子は農期に基づきすでに露天の畑に撒かれており、一部は実験室内で関連する実験を展開中だ」と述べた。

宇宙飛行、品種の選択・栽培から市場に入るまで、稲、小麦、トウモロコシなどの主要食糧作物は通常8年ほどの時間がかかるのに対し、果物・野菜などの園芸作物は3−5年の時間を要する。

花栗カボチャ (撮影・侯宇)

宇宙種子の変異は安全な食用に影響を及ぼすだろうか。趙氏は、「国連食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)は宇宙育種を物理的な放射線育種の一種としている。放射線育種は世界で百年近くの歴史を持ち、調査可能な商品化品種は3300種以上にのぼる。食品安全問題がないことが事実によって証明されている」と述べた。

趙氏によると、宇宙環境を利用した植物の性状の変異誘発は、植物自身の遺伝子変異の結果であり、外から遺伝子を取り入れるわけではない。本質的に植物の自然界における変異と同じだ。地上での人工的な放射線と比べると、「宇宙旅行」した種子の生存率は90%に上がっており、変異する可能性は少なくとも1桁上がっている。宇宙育種のより高い変異の確率は、育種材料遺伝資源の不足というボトルネックの解決に役立つ。

宇宙植物栽培はまた、米国やロシアなどの宇宙大国の研究の重点だ。趙氏によると、宇宙環境を利用した科学研究の展開は、国によって重点が異なる。例えば米国はよりバイオ医学やバイオ科学の研究を重視し、宇宙における「空飛ぶ農場」の建設を狙っている。

深宇宙探査計画の実施に伴い、中国も同時に関連研究を展開している。趙氏は、「将来的に種子を月や火星に持っていくことは必然的なことだ」と述べた。

宇宙育種製品は実際に早くも食卓に上がり、人々の日常生活に浸透している。趙氏によると、中国は1980年代より宇宙育種搭載を開始している。宇宙育種製品は今や身近な存在になっている。中国の宇宙育種の成果は現在、世界の同業者から広く認められている。

中国宇宙ステーションの完成に伴い、定期的な打ち上げと帰還、船内・船外の宇宙変異誘発環境、より多くの積載量が、育種研究により豊富な宇宙資源とサポートを提供するだろう。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年6月29日

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